コンクリートやガラスなど、シンプルであり無骨な素材をそのまま使いモダニズムの原点ともいうべき機能主義に突出した建築様式である“ブルータリズム”をファンクションウェアに投影した今シーズン。
「ブルータル」という言葉はフランス語の「béton brut」（ベトン・ブル）に由来し、「未加工のコンクリート」という意味を持ちます。これに基づいて生まれた「ブルータリズム建築」は、機能的でありプリミティブな素材を用い、素材の背景に生える色や形を強調し、経年変化による素材の汚れや劣化を論理と美学の融合として今も尚大きな影響力のある建築スタイルであり、これはファンクションギアとファッションの融合という定義にも当てはまると考えています。
デザインにおいて余分な装飾を排し、直線的でシンプルな形状が力強さを強調することは機能主義（ファンクショナリズム）であり、機能を最優先に考え、形態は機能に従うという原則に基づき構築されています。機能を重視する中で、時に強烈な印象の線や形状が生まれ複雑化することで、機能そのものを可視化的に表現することになる。
我々が長年探求してきたファンクションの可視化とは、可動域に対するマテリアルの伸縮や、体を保護する為の機能、またゴアテックス などに象徴される機能性素材とデニムやウールの天然繊維の経年変化や加工による新しい見え方としても捉える事ができる。この機能性素材と天然素材の組み合わせがブルータリズムの思想を反映した、機能と素材そのものの美しさを強調することができることと考えている。
フィールドテストを通じて機能が優先されたウェアの設計は、まさに機能主義の本質を捉えており、ヘザーグレーやブラックなどの色彩のレイヤーは、視覚的にブルータリズム建築の無装飾で機能的な美学とリンクしています。
建築では、構造的な強度を保つために三角形の重なりが柱として設計されており、これは機能がデザインを果たした意匠となっているが、長年WMの頭文字から三角形の組み合わせをアイコンとしてきた我々にとってデザイン的な共通項を感じざるを得ない。
“ブルータリズム”という理念には、ファッションデザインの中でも特質してファンクション、モビリティーディテールに重きを置いてきたWhite Mountaineeringにとって、重要な要素があると感じている。
